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林 祐子
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私たちの身体は、暑い時は汗をかいたり、寒い時には筋肉を震わせて熱をつくり出したりして、体温を調節しています。こうした一連のはたらきは、脳の視床下部(ししょうかぶ)にある交感神経と副交感神経からなる自律神経から成り立っています。わかりやすくいうと、活動する昼間に活発になるのが交感神経で、リラックスしている夜間に活発なのが副交感神経です。寒い環境にいると体内の熱を外に逃がさないように交感神経が優位になり、手足の末梢の血管が収縮し、身体が緊張状態になります。この現象自体は体温を保つための自然な機能です。
ところが、何らかの原因で自律神経がうまく機能しなくなり、暖かい環境に戻っても、いつまでも血管が収縮した状態が続き、血流の循環が悪くなって手足の皮膚の温度が低いままの状態になることがあります。これが一般的に「冷え症」と呼ばれる状態です。
冷え症のタイプ
冷え症にはタイプがあります。一般的に、冷え症と呼ばれるものは、「血管収縮型冷え症」と呼ばれるものです。約7割はこの「血管収縮型冷え症」だと言われています。それ以外のものは、「血管拡張型冷え症」と言われるものです。
血管収縮型冷え症の特徴は、室内でも手足が冷えることです。抹消血管の血行不良や、セルライトなどが原因とされています。血管拡張型冷え症は、近年増えていて、男性にも多くなってきていると言われています。ストレスなどによる自律神経の乱れが原因で、常に血管が拡張しており、体温が奪われていきます。
冷え症の原因
冷房の利いている屋内と暑い屋外との出入りが激しい
「夏の冷え」の最も大きな要因となっているのが冷房の利き過ぎ。体が反応できる範囲を超えた温度差のある環境にいると、自律神経がうまく機能しなくなります。人間の体が無理なく対応できる1日の温度変化は7℃前後とされていますが、現代の日本の夏は冷房の完備で屋内外の温度差がそれ以上になることが多く、体温を調節する自律神経が混乱し、冷えをもたらすとされています。
冷房の利き過ぎによって、寒いと感じた時には収縮した血管が戻りにくくなり、手足の先などの末端部分だけでなく、お腹や背中、首なども冷えてしまうことになります。女性は男性に比べ冷え症が起こりやすいとも言われてます。筋肉量が少ないため、寒い環境に対応するための熱をつくり出しにくいことから冷え症が起こりやすかったり、服装も、男性に比べ露出が多かったりホルモンのバランスによっても女性の方が冷え症になりやすいと言われています。
足のむくみ
夏の冷えの大きな特徴は「足のむくみ」。足の筋肉が少ない女性が、冷房の利いた室内で座りっぱなしでいると、足下の冷気が足先から熱を奪うだけでなく、血液などの体液を押し戻す力が足りないために余分な水分がたまってしまい、むくんでしまいます。
冷たい飲み物・食べ物も体を冷やす
冷えの自覚がないまま冷たい飲み物や食べ物を摂り続けると、血液の流れが悪くなり、夏でも汗をかきにくく、水分代謝が悪くなります。その結果、老廃物や毒素がたまりやすい体になってしまいます。また、むくみやめまい、頭痛、肩こり、尿のトラブルなど、さまざまな不調を引き起こす原因にもなります。
ストレスや夜更かしも原因に
精神的ストレスや夜更かしも冷えの原因になります。ストレス過多で血管の働きを調整する自律神経に乱れが生じ、冷え症になるケースもあるようです。夏は睡眠リズムが変化し、ただでさえ寝不足に陥りやすい時期であり、それに日中のクーラー冷えと寝室の蒸し暑さが加わって、さらに睡眠を妨げます。特に昼間のストレスが発散できないまま夜を迎えたり、夜更かしを繰り返していると、自律神経は寝る直前まで緊張状態となり、やがて冷えを招くということにもなりかねません。
入浴は湯船に入らずシャワーで済ませることが多い
暑いから湯船は入らないと、1日中、冷房や冷たい飲み物などで体が冷えた状態になっているので、冷えた体を芯から温めてあげないと冷え症に、繋がってきます。
「隠れ冷え症」は要注意
冷房の利きすぎで特に注意したいのは、自分の体の冷えを自覚していない「隠れ冷え症」の人。もともと冷えの自覚がないので、夏になると外が暑いために冷え症であることを感じにくいのです。このため薄着をしたり、体を冷やす食べ物や飲み物を摂り続けることになり、知らず知らずのうちに症状を悪化させてしまうのです。夏でも手足が冷えやすい人はもちろん、お風呂に入ると体が楽になるという人も、冷え症を疑ってよいでしょう。冷房による冷えは肩こり、頭痛、腰痛などから自覚し始めることが多いとされており、体がだるい、食欲がないといった不調があるなら、冷えが関係しているかもしれません。
自分でできる対策方法
冷房中の部屋では肌の露出を避ける
冷房中の部屋では、首やお腹周りなど体の中心部の露出に注意しましょう。首やお腹周り、背中などを露出すると手足まで冷たくなり、そのあとで、首やお腹周りを覆っても、なかなか手足の冷えが改善されません。
特に守りたいのが首。首には大量の血液が流れる頸動脈が体表近くにあり、ここが冷えると体全体の冷えにつながります。スカーフを首に巻くだけでもかなり違ってきます。 また、お腹や背中を冷やさず内臓を守ることも大切。夏場でも冷房の利いた部屋で過ごす場合は薄手のカーディガンや腹巻が重宝します。ローライズのパンツなど、お腹周りが直接空気に触れるような服装は避けた方がよいでしょう。
冷たい飲料のガブ飲みは避ける
夏に倦怠感や食欲不振を感じたら、冷たい飲み物やアイスクリームなど、体を冷やす「陰性」の食品は避けるのが無難です。特に冷えた部屋での、冷やした飲み物には要注意です。また冷たい飲み物・食べ物の摂り過ぎは、胃腸の不調や肌荒れの原因にもなります。意識して温かい飲み物を摂りましょう。
例えば、カレーを食べて汗をかき、漬物のラッキョウを食べることで冷え対策につながります。逆に暑さで食欲がなく、そうめんなどの冷たいものばかりを食べていると、体の中から冷やしてしまうことになるので、注意しましょう。さらに、食生活の偏りが出るとビタミンやミネラルが不足し、基礎体力も低下して体の体温調節などの機能が低下します。暑い時にこそ、栄養のある温かいものを食べましょう。
軽く汗をかく運動をする
運動は冷え対策や自律神経失調症の予防で最も有効な対策。筋肉を使うことにより、滞りがちな血液の循環を促進できるからです。逆に運動をしないと、筋肉の量が減少してしまい、疲れやすい体質が助長され、休日はダラダラと過ごしがちになってしまいます。シャワー水流を利用して「夏の冷え症対策」リンパマッサージ入浴時にシャワーを利用してリンパマッサージをすることも夏の冷え対策に効果的。シャワーの水流を少し強めにして、それぞれの部位にかけるだけで、リンパの流れがよくなります。
湯船に浸かる
生活習慣で最も効果があるのが、お風呂です。就寝前に39°くらいのぬるめのお湯に全身浴でゆっくり浸かるといいです。リラックスすることで、副交感神経が優位になり、15分から20分ほどで体の芯から温まります。温かすぎてしまうと逆に交感神経が優位になってしまい、体が緊張状態になり、逆効果になってしまうので、注意が必要です。
まとめ
冷え症について少し理解しましたか?
冷え症は冬のものだけではないと知っていただけましたか?夏の冷え症の方が、実は体にとって負担がかかってしまいます。食事や、入浴のちょっとした改善や、適度な運動を日常性活に取り入れて冷え症にならない体を目指してください。
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